マーケボン Vol.41

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※読売新聞社の刊行物に連載した書評のアーカイブです。
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マーケボン
(2015年12月・2016年1月号)

Vol.41 : 『映像の世紀』を年の瀬に
『もういちど読む山川世界史』(山川出版社)

師走といえば、今年の流行語大賞は何になったのかしら。本稿執筆時点ではまだ発表されていないから勝手なことを書くが、私的にひとつ選んでみるなら「2020年に向けて」というフレーズかな。広告主のオリエンテーション資料なんかにこのところ頻出するのがコレ。「2020年に向けての市場環境変化を予測せよ」「2020年に向けてのロードマップを呈示のこと」といった具合に用いられる。

21世紀は遠い未来だと思って育った世代だから、「2020年」が目前だと言われると軽く眩暈がする。子供時分に読んだSF漫画に出てくるような数字の並びで、ここだけの話、どうにもまだ現実感がわいてこないのである。若い世代だとこのあたりの感じ方が違うんだと思うけど。まあ、現実感があろうがなかろうが、「2020年」はマーケターの日常業務の対象となったわけで、その未来をどう見るのか、自分のパースペクティブを検めておくべき節目が来ているのだろう。

方法は二つある。手っ取り早いのは、書店のビジネス書。未来予測本が大盛況で、節目なんだということがよくわかる。「IoT」「AI」「ロボット」といったようなワードが表紙に大書してある本、どれでもとりあえず一冊手にとってバラバラめくっておけばだいたいオッケー。未来のことを考えるのだから、未来について書かれた本を手に取る。当たり前だね。

もう一つは、未来のことを考えるにあたって、過去について学ぶという行き方だ。現在起こっている事象に、過去からの因果を見ること。過去からの因果を知らずして、ある事象は理解できない。ましてやその事象の未来をや。こちらは少々、いや、相当な手間がかかる上に、かなりの遅効性で、なかなかお勧めしにくいのだが、たまたま良いものを見つけたので紹介しておく。

1995年から1996年にかけて放送された「映像の世紀」というテレビ番組をご存じだろうか。NHKのドキュメンタリーで、リュミエール兄弟によって映像が発明された1895年からちょうど100年間、映像によって記録された初の世紀である20世紀を、世界各地に残された膨大な映像資料をつなぎあわせて描出するという未曽有の大企画。放映当時、私は内容の素晴らしさに仰天して、発売された11枚組みのDVDセットを思わず購入(8万円超!)してしまったほど。

その名番組が今年、新シリーズ化されて放映中なのだ。前回の放送から20年の間に新たに発見された映像を盛り込んで構成しなおしたもので全6回。また、1995年のオリジナルシリーズ全11回も最新のデジタルリマスター技術を駆使してハイビジョン版にアップグレードされて公開された(ブルーレイセットが3万円台で発売予告されていてちょっと複雑な気持ちだ)。

一度もご覧になったことのない方は、この冬休みの時間をやりくりして、ぜひご覧になることを強くお勧めする。高校の世界史の教科書が手元にあればベスト、さらに楽しく見ることができるだろう。「もういちど読む 山川世界史」として一般書店で販売されている。それでは、よい年末年始を。今年も本連載を読んでいただいてありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。(了)

『映像の世紀』は加古隆によるオリジナルサウンドトラックがまた素晴らしいのだ。テーマ曲「パリは燃えているか」が様々なアレンジで挿入されて胸を締めつける。

映像の世紀

  • 『もういちど読む山川世界史』(山川出版社)
  • NHKスペシャル「映像の世紀」
  • NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナルサウンドトラック/加古隆

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